牛尾くんの部屋には
綺麗なベッドがあるというので
みんなで遊びに行った。



彼の家はゲームがたくさんある
オアシスだったが、
机の上に置いてあったクラス写真を見て呆然。

そこは、勝間くんの顔が
画鋲でズタズタにされていた。



楳図かずおェ。

確かに勝間くんは
リコーダーの口をつける部分を
通行人になすりつけるというような
癖（へき）があったから人の恨みは
よく買っていたのだと思う。


そんなある時、
勝間くんと牛尾くんが
教室で喧嘩をした。

私と牛尾くんは隣のため
ことの行方を見守っていた。

牛尾くんから罵声を浴びせられた
勝間くんは泣いて憤りながら



なぜだかロッカーに潜り込んだ。

ちょうどヤドカリのように
顔と足を出しながら
ロッカーを背中にすっぽり。

『え！？ロッカーに！？』



私は一部始終を見ていて
若干笑いが出てしまいそう。

なおも罵る牛尾くん。

その状況を見ていた
ある男子がこう言った。



普段不真面目な男の子なのに
こういう時に真面目発言。
喧嘩を仲裁してるのだろうか。

しかもそれは
何故だか牛尾くんではなくて



私に向けて言っていた。
（黒目が小さい男の子だったので
　視線の先がよくわかる）



そのとき私は悟った。

『自分は悪くなくても
　とばっちりを
　受けることがあるんだ』

『人間関係のトラブルは
　罪なき周りの人も
　巻き込む渦なのだ』



これこそ、
表こころ史のターニングポイントである
かの有名な重要事件・勝間くんロッカーヤドカリ事件であるのだった。



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