歴史とは現在の蓄積である。

現在の人間が振り返って、
はじめて歴史は歴史となる。

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その中で、未来を予想して、
全力で生きた歴史上の人物がいた。

中には当時、その予言がばかげていて
周りが取り扱わなかったものの、
あとになって正しいと分かった場合もある。

今日はその英雄たちを紹介しようと思う。
~山本五十六~

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太平洋戦争直前のこと。
海軍次官であった五十六は、周囲が賛成していた日独同盟に反対している。
「日独同盟は、
ドイツを敵視するアメリカとの
戦争になるため
何としても阻止せねばならぬ」

事実、三国同盟手締結後、アメリカとの関係は急速に悪化。やがて太平洋戦争へと突入。
真珠湾攻撃を速報で聞いた三国同盟の外相・松岡洋祐は「三国同盟は僕の人生最大の失敗」と嘆いてている。

また、首相・近衛文麿はアメリカとの開戦を食い止めようとした反面、もし、戦争になった場合勝てる見込みがあるのかと山本五十六に尋ねた。
「半年や一年までは暴れられるが、
それ以降は全く確信が持てず。
なるべく回避するべし」

と五十六は回答している。

その予想通り、ニイタカヤマノボレの12月8日から半年後の6月5日、ミッドウェー海戦にて、大日本帝国は惨敗。

同時に大本営のプロバガンダは暴走し、日本軍は泥沼へとはまることとなる。
太平洋戦争は山本五十六が最も恐れた長期戦へとなっていく。




~大谷義継~

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大谷義継は、天下分け目の戦い・関ケ原において、松尾山城に陣取る小早川秀秋をけん制していた。おなじ西軍にも関わらず、裏切りが濃厚であったからである。しかし北政所との縁者であるだけで格別の待遇を受けていた小早川を重要な戦場に招かぬわけにはいかなかった。

しかし、予想外であったのは脇坂安治・朽木元綱・小川祐忠・赤座直保らの畜生軍団も連座して裏切ったことである。
この怒涛で利己的な転身にも、義継はよく耐えたものの、猛攻の中、もはやこれまでと悟ると裏切者に首だけは渡すまいと松尾山を向き自刃したという。

そのときに言ったとされる言葉。
「小早川金吾中納言、人面獣心なり。
三年の間に祟りをなさん」


その言葉通り、裏切者の小早川秀秋は卑罵語にまみれた二年間ののち、獣のようにくたばった。

なお、石田三成も、大谷義継も
小早川秀秋が寝返ることは戦前から予想していた、
というのが現代の定説である。




リンカーン

リンカーンは大統領就任後、たびたび不思議な夢を見た。

ホワイトハウスを歩いているリンカーン。ふと見慣れる部屋があるのを見つけて戸を開けた。部屋の中央には棺がある。近寄って中をのぞくとそこには自分自身が眠るように横たわっていた。思わず側近を呼び、「これは誰だ!?」と尋ねた。側近は答えた。「はい、大統領さま、あなたさまでございます」「あなたは死んだのです」

そこで目が覚めたという。


それから二週間後にリンカーンは襲撃された。

無題
https://www.youtube.com/watch?v=FIPLa8W55OQより



これら三人は結果的に予言が当たった形となる。
大谷義継においては予言というよりもはや呪いに近い。

ただし、これらはスピリチュアルな予言ではなくて
現状をしっかりと把握したうえでの未来予想にすぎないだろう。


例えば、山本五十六は渡米経験があり、アメリカと日本の国力差は十分に知っていた。
そのため、昭和史において最も太平洋戦争に反対していたという人物で五十六が挙げられることもある。
(余談だが、五十六はばくち好きだったので、カンが鋭かったのかもしれない)

リンカーンにしろ、その革新的な行動には反対するものが多く、自分の最期をそれとなく感じていたのではないか。


また、小早川秀秋はその死因をアルコール中毒とされている。
(※篠田達明氏による解説)
大谷義継は関ヶ原の戦いに至るまでに、その秀秋のメンタルの弱さを感知していたのではないか。北政所の縁者というだけで高官にのぼり、弘安の役で秀吉より咎めを受けるような身の振り方をしてしまうような秀秋を。
なにしろ義継は徳川家康と仲がよく、家康三成の力の冷静に見つつ、それでも友誼のために三成の西軍についた男だ。
竹中半兵衛にしろ、大谷義継にしろ、病弱な戦国武将というのは、どこか醒めた目で現状を見る力に長けていた。

占いや未来予測というのは、
現在の情報を統合して、
どうなるであろうという見通しを立てること。
これら三人にはその力があったのだろう。


ちなみに、当時は酒造技術が未開発で、 日本酒のアルコール濃度は現在でいうビール並みであったという。
それでもアルコール中毒で死ぬのだから、人面獣心・小早川、いったいどれだけ呑んだのだろうか。

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<参考文献>

彩図社「太平洋戦争の謎」
小和田哲男「石田三成-智の参謀の実情-」
篠田達明「戦国武将のカルテ」
KK書房「学校の怪談」



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